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舞台「三人姉妹」観劇

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    演劇集団円の公演「三人姉妹」を観てきました。
    最近業務日誌が「観劇日誌」となっていますが、FBやらtwitterやらで色々と記述しているので、まぁご勘弁を。

    ネタバレあります。これからご覧になる方は、観劇後にご一読していただけると嬉しいです。
    演劇業界の「裏方」「演出家」目線で感想をチャプター形式で記述しています。


    1:全ては役者

    やっぱり円の役者陣は他劇団とは比較にならない程層が厚く、豪華なキャスティングでした。現在私(弊社)は映像系が多忙の為、最近プロデュース公演をやってはいませんが、やはりこの役者層は羨ましく思います。

    2:作品と演出

    「チェーホフ」というロシア文学を代表する劇作家の戯曲らしいですが、私は長くこの業界で仕事をしているにも関わらず、彼の作品は一冊も読んだ事がありません(個人的にはロシア人ならザンギエフの方が有名)。まぁそう言った訳で率直な感想としては「濃厚で凝縮されたお昼の連ドラ」という印象でした。ほぼ登場人物の全てに、どうしようもない性格や過去・異性関係があったりする「アレ」です。中々ドロドロしていて面白いですねぇ…ちょいと原作を読んでみたくなりました。今風に言うなら、チェーホフというオッサンの「ヲタ」な思考を活字で読みたい、という感じでしょうか?

    個人的には演出が素晴らしかったと思います。円の前作「ガリレイの生涯」では、言い方は悪いですが何かウザったく、無理に現代の技術まで使うコザかしい演出効果が多かったのですが、今回はそれが全くない(まぁ演出家が別人ですから一概に比較はできませんが)。シンプルな構成、シンプルな演出。ストーリーや役者の演技を落ち着いて観劇できました。佐久間さんのセンスに脱帽です。

    音響や照明、舞台美術や衣裳も然り。各セクションが無駄に主張し過ぎず、至って自然な感じが良かったと思います。随分灯体(照明)が多く釣ってあるから初めはどうなるのかと思いましたが、相変わらず清水さんのプランはシンプルな色使いで好きです。彼の性格が非常に出ている照明だったと思います。

    3:主役の三人姉妹

    事前に千葉三春が「三女役」と聞いていて「おいおい、アンタは長女(もしくは二女)だろ」と思っていましたが、とにかく一生懸命稽古をしたのか、他の二人に助けられたのか、「ちゃんと」三女でした。う〜ん、とはいえコレは「演出や稽古での賜物」であって、やっぱりミスキャスティングというか…。やはり二女役の山根舞が三女役(つまり千葉さんとテレコ)でも良かったのではないかと。長女役の細越みちこは良い演技でした。みちこさんいい女になったなぁ…(もちろん良い意味で。やらしい意味ではない。同世代としては感慨無量)。

    山根さんも千葉さんも円の中では若手の役者ですが、他の中堅・ベテラン役者に負けない素晴らしい演技でした。今後、もっともっと彼女達の芝居を観ようと思います。

    4:興味深い脇役の布陣

    丸岡奨詞や宋英徳という「最近では中々観れない」二人の役者姿は、やっぱりスゴかった。両者共、業務で大変お世話になっている方々ですが、「あぁ、やっぱり彼らも役者なんだなぁ…」と改めて実感。凄く「円らしい」キャスティングだったと思います。やっぱり円の役者レベルは高い。

    ちなみに大竹周作(三人姉妹の兄役)の演技は安定していて好きですねぇ。大竹さんも主には「演出家」として業務をご一緒した経緯がありますが、やっぱり彼の演技は秀逸です。またお仕事ご一緒できればと思います。

    5:ちょっと気になる事

    よく「昼ドラ」には「憎たらしい(お客に嫌われる)」役が多く存在しますが、今回はそんな演目でした。2時間超で随分色んな役者を嫌いになりました(もちろん公演的には良い事です)。お客に好かれる役は、大抵の役者なら問題なく演じる事ができます。ですがこの逆は中々難しい。誰だって多くの人から「好かれたい」と思うのは人間としての「性」(モテたい根性と同じ)であり、その逆の役を上手くこなせる円の中堅・ベテラン役者の実力はホントに凄いと思います。

    …で、なんですが…

    今回の若手役者の芝居がちょっとなぁ…どうしちゃったんだ円?

    若手の芝居がヘタなのは別に円だけではなく、どの劇団でも同じですが、ちょっと今回出演した若手は、個人的には観るに堪えなかったかなぁ?実力のある中堅・ベテランと比較しちゃったというのもあるんでしょうが、それを抜きにしても苦しい。

    具体的に書くと、中堅・ベテランの演技の上辺だけをかすめ取っただけの印象が残りました(つまり芝居として「薄い」という事)。役者キャリアが足りないというのは理由になりません。今回主役の一人を演じた千葉三春や、同じく昨年のこどもステージで主人公を演じた山下真琴も、役者キャリアとしてはそんなに違いはありませんが、実力はまだまだにせよ、彼女達の演技は十分に納得して観れるモノでした(私ゃどちらも感動すらした)。

    要因として、主人公を演じた彼女達との大きな違いは「(上手かろうがヘタだろうが)役者としての一本筋がない」事だと思います。周囲に厳しく言ってくれる人材がいないのも事実かもしれません(変にのびのびし過ぎ。主軸が固まる前に揺らいでるイメージ)。演出助手の吉野や金子が同世代として、もうちょっとダメ出ししてあげても良かったかもしれません。ちなみに毎度記述してますが、私が厳しく書いているのは「彼らを応援している」からです。

    6:最後に

    今回の制作で同じく円の若手の宮本君が、初めてのチーフとして頑張っていました。彼は役者ではありませんが、同じスタッフとして今後とも応援していこうと思います。仕事のスケジュールってのもあったんですが「比較的空いている日」を選んで観に行ったのに満席でした。制作としては誇りに思って良いと思います。素晴らしかったぞミヤ!


    …長々と失礼しました。ご一読感謝します。

    円の皆様、今後ともよろしくです。


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